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【現役が語る】食品卸売業ってどんな仕事?

久しぶりに文字にしたい欲が出てきました・・

へんしーもです。

その書きたいこと、なんですが

僕が働いている業界のこと知られてなさすぎる!!!

というところから始まりました・・

僕は、新卒で入社して以来、 5年間食品卸という業界でサラリーマンをしています。

業界内で上位の会社は、売り上げが1兆円を超えており、規模はとても大きいのに、残念なことにあまり世間に知られていません。

皆んなに「何それ?」って聞かれるの疲れてきました・・

僕が就活をしていた時も、業界研究として記事を手当たり次第調べましたが 実際に現場で働いている人の声、意見というのが少なかった記憶があります。

ですので、就活生は勿論 食品卸を知らない皆さんに向けて どんな仕事をしているのか また食品卸で働くメリット、デメリットを 実際に働いている経験からまとめてみたいと思います。 (家庭用食品の担当の為、偏っていたらスミマセン)

それでは行ってみましょうー

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メーカーと小売業の間に卸が必要な理由

流通の仕組みをあまり知らない人から

「そもそも卸って必要なの?」

と聞かれることがあります。

メーカーや生産者から仕入れて、小売業に販売する。

またその間の配送を含む物流業務も請け負う。

簡単に言えばこれが卸の仕事です

卸の必要性を考える時は、 商流と呼ばれる「商品の流れ」と物流と呼ばれる「配送の流れ」 この2つの軸を意識すると分かりやすくなるので 消費者目線から、2つの軸を起点に説明していきます。

商流面から必要な理由

一般的なスーパーマーケットには

1店舗あたり5,000アイテム以上の商品が並んでいます

卸が存在しなかった場合 仕入れる商品を決めるバイヤーさんは、 この商品を取り入れてみたい!ちょっと話を聞いてみたい! そう思った時、日本全国のメーカーさんをその都度呼んで商談しなければなりません。

5,000の商品を決める為に、何人バイヤーさんを用意しても人が足りませんし メーカーさんもそんなに人がいません。全てにおいて効率が悪いですね。

でも卸がメーカーさんの取りまとめをしていれば、

バイヤーさんは卸と商談すればそれだけで完結します。

また、「タピオカの次に売れる商品探してきてよ」とか 「競合スーパーが安いトマト缶を売り始めたから、もっと安いの探してきてよ」とか そういう要望をバイヤーさんから頂くことがあります。

そんな時、要望に合わせて

卸が全国各地のメーカーさんの中からピックアップして提案する。

そこにまた、卸の価値が生まれます。

物流面から必要な理由

物流面から卸の必要性を考えた場合には

商品の価格に影響する、コストの低減が挙げられます。

メーカーが作って卸を介さず そのまま小売業の店頭に並べば 販売までの工程が少なくなる訳ですから 1商品あたりの店頭価格が安く抑えられます。

これは事実です。

でも半分正解で、半分不正解・・・。

というのも、一つの商品をまとめて1店舗に納品した場合に可能な仕組みであり

商品によって、可能なものとそうでないものがあるからです

例えば伊藤園さんの「お〜いお茶」は誰もが知る人気商品で ペットボトルのお茶の中では、日本で一番売れています。

「お〜いお茶」なら、一つのお店に沢山納品しても 皆んなが

毎日飲むので、すぐ売り切ることが出来ます

一方で、埼玉県に 国太楼さんという僕が好きなお茶メーカーさんがあります。 馴染みの無い方が多いと思いますが 素敵な商品を作られている、業界内では有名な企業です。

ただし、ペットボトル飲料ではなく「お茶っ葉」ですので 「お〜いお茶」のように、すぐ無くなる訳ではなく毎日買うような商品ではありません

となると、国太楼さんの商品を1つのお店に沢山納品した場合 お店は売り切ることが出来ず、在庫を保管する膨大なバックスペースが必要になりますし

食品は賞味期限がありますので売れるまでの間に

どんどん賞味期限が古くなっていくという問題もあります

全ての商品を大量に仕入れて大量に販売出来る

大型店舗やコストコのようなお店でしか出来ない訳です。

また、配送の面において 1つの店舗に各メーカーのトラックが毎日納品に訪れたらどうなるでしょうか? 1回に納品される商品は少ないのに何百台もトラックが来ますよね?

実際には、そんなにトラックや配送する人を用意出来ませんし 納品に行けたとしてもお店がパンクします。

ですから一度、卸に各メーカーの商品を在庫しておき 各お店が必要な時に必要な量だけ、持って行くことで全体が最適になります。

各メーカーから集約して、各小売業に分散させる。

卸が必要とされる理由です。

結局のところ一言で表すと何屋さん?

卸が必要なことは分かったけど、実際どんな仕事をしている人で、何屋さんなのか?

色々な業務内容がありますが、皆さんが知っていそうな言葉で置き換えるならば

各所の調整役

且つ

コンサルタント

であると僕は思っています。

その理由について 次の仕事内容紹介で詳しく解説していきたいと思います。

部署ごとの仕事内容

どの会社でも、色々な部署に分かれていて 自分の持ち場で会社の利益に貢献するというのが、サラリーマンだと思います。

食品卸の場合は大まかに5つの部署に分かれており

どこで働くかで、流通への関わり方が変わります。

①営業

②在庫管理(受発注)

③倉庫

④バックアップ部門

⑤総務、経理

営業

商流と物流機能を併せ持つことで、 ビジネスが成り立っている卸売業ですが 営業という仕事は、商流の場面で核となります。

担当するお得意先の小売業(〇〇スーパーや〇〇ドラッグなど)を持ち、

メーカーさんの売り上げと自社の売り上げを増やしながら

お得意先の売り上げを増やすことが史上命題です。

関わる全ての人達に

自分の頑張りで利益をもたらさなければなりません。

食品業界には帳合という制度があり 各お得意先から、〇〇食品というメーカーさんは どこの卸から買うというのが、決められています。

お得意先から信頼を得ることで 他のメーカーも、君のところに任せてみようか。と言ってもらう。 これにより同業他社から自社に帳合が変更され、大きな売り上げUPとなります。(帳合変更と言います)

一緒に取り組めば売り上げが増える提案をしてくれる。

痒いところに手が届く。

そう思ってもらう仕事をしなければなりません

そんな営業の、普段の仕事内容はこんな感じ。

・店頭の棚に何を置くのかを決める(棚割り作成)

・メーカーさんとの事前商談

・特売(チラシ)の企画提案

・催事(季節イベント)の提案

・不要な在庫の処分販売

・メーカーさんとバイヤーさんの調整

・新たな商品の発掘

特にやりがいを感じるのは 棚割りと、新たな商品の発掘だと思います。

先ほど商流面での必要性で紹介したように 皆さんが普段買い物をしているお店の棚に何を置くのかは 実はメーカーさんと卸でほとんど作成しています。 (最終的にはバイヤーさんが決定しますが)

導入した後に売れたのか、売れなかったのか分析をして 売れなかった物を棚から外すといった作業も卸がしています。

PDCAを回して、売れる売り場を作る。

場合によっては自分で新たな商品の発掘もしてくる。 これが営業の醍醐味です。

ちなみにスーパーでは、大がかりな入れ替えは半年に一度ですが コンビニのカップ麺、飲料の棚は1週間に1度のサイクルで行われます。 確か、お菓子の棚もそれくらいのサイクルです。

いいなと自分が思った商品が翌週には並んでいないという背景には こんなシビアな事情があるのです。

開発に長ければ数年かけて取り組んだのに、結果が出るのは数日。 商品棚に並ぶまでの裏側には、色んな人たちの汗が流れています。

在庫管理

営業が棚にどの商品を並べるか決めてきたら 次は在庫管理(受発注)担当者の仕事です。

既に並んでいる商品に加えて、新しく導入される商品があれば

その売れ具合を事前に予測し、いつ、どのくらいの注文が来ても

すぐ納品出来るように在庫しなければなりません。

販促があり、特売に入っている商品や

催事売り場で大量陳列する場合の商品手配も仕事です。

在庫管理担当者の仕事における難しさは

ちょうどいい在庫を持たなければならないことです

・足りなかった場合

想定していた受注数を上回り、お得意先からの注文に対して

自社の在庫が不足した場合はメーカーさんの倉庫に

引き取りに行かなかければなりません。(特売や売れ筋など重要商品)

無駄な物流経費がかかり利益を圧迫します。

・在庫が多すぎた場合

受注が少なく余らせてしまった場合

倉庫の保管スペースが無駄になるので

無駄な在庫保管料金がかかり利益を圧迫します。

また賞味期限が近づくと正規の値段でお得意先に売れなくなるので

赤字で処分販売が必要になります。

どちらにしても利益を圧迫してしまうので、適正な在庫が求められます。

ただ簡単に言ってみれば、

担当お得意先の1日の来店客数が数十万人という状況で

皆んなが今日何を買うのかを予測する訳ですから、

非常に難易度の高い仕事です

メーカーさんがどんな広告を打っているのか、

テレビで特集を組んでいないか

インフルエンサーが何か発信していないか等、

常に感度を高めて情報収集し続けなければいけません。

よって、毎日仮説を立てて検証をし

論理的な結論を導き出せる人材が

出世していきます。

(営業マンも同じですが)

倉庫

倉庫の仕事と言うと

庫内での出荷作業など、肉体労働がイメージされますが

現場での業務は、物流業者に業務委託している場合がほとんどですので

管理がメイン業務です。

例えば、車両1台あたりの積載効率を高めて

物流費を抑える為には何をすべきなのかを考えたり

物流業者の庫内作業にもっと改善出来る余地が無いか考えたりします。

もちろん指摘するだけでなく、物流業者からの要望を受けて

営業や在庫管理担当者へ改善を促したりします。

例えば、在庫管理担当者への要望として

「よく売れる商品はパレット単位で発注してほしい」などがあります。

パレット単位でまとめて発注すればトラックから下ろして

格納する時間も、検品する時間も減りますので

庫内の生産性が上がるわけです。

営業へ要望を出す場合は

「お得意先への納品時間をもう少し後ろ倒しさせてほしい」とか

「棚割りに入っていない商品を勝手に注文するのはやめさせてほしい」とかです

営業、在庫管理、倉庫で立場は違いますが

お得意先に貢献する為、信頼を得る為に仕事に取り組んでいます。

バックアップ部門

それぞれの会社で部署の名前は違うと思いますが

営業、在庫管理、倉庫の部門を支援する為に

本社の部署としてありがちなのがバックアップ部門です。

例えば、

自社商品を開発する部署であったり

メーカーさんの情報を集約してくれる部署があったり

トレンドを分析する部署があったり、会社によって様々です

会社によって取り組み方、力の入れ具合が違うと思いますが

最終的には、営業、在庫管理、倉庫の人たちを

支援するのが目的ということです。

総務、経理

まぁ・・これは流石に説明しなくても大丈夫かな。(笑)

社内の備品とか、税金関係とか、お得意先からの請求への対応とか

そういうのを諸々やっている部署です。

食品卸で働くメリット

ここまで、どんな仕事をしている業界なのか記載してきましたが

メリットとデメリットについて体験して

感じたことを記載していきたいと思います。

①景気に左右されにくい

価格の安い商品中心に売れ筋が変わりますが

食べることは無くならないので

100あった売り上げが、急に0になる不安はありません。

②情報が沢山入ってくる

トレンドや、メーカー各社の情報が嫌でも毎日入ってきます

③試食の機会が多く、食べることが好きな人には天国

商談は常に試食を伴います。

どうやって作るのか、美味しいのか、美味しくないのか。

食べることが好きで、料理が好きな人は最高の環境です。

④出会いが多い

一応、商社マンな訳ですから色々な人と日々接します。

基本的には体育会系で飲み会が多く、バリバリ働く男性が多いです。

メーカーさんと付き合っているとか、実は結婚したとかも多いです。

食品卸で働くデメリット

メリットがあれば、デメリットも残念ながらあります。

①メーカーさんとバイヤーさんの板挟み

これが一番辛いです。

メーカーさんはブランド力のある会社であればあるほど

出来ないものは出来ないと簡単に断りますが、バイヤーさんが納得しません。

それを調整するのが卸です。文句を言われるのも卸です。

②休みが少ない

お得意先は土日も稼働している為

ブラックなお得意先を持つと連絡がひっきりなしです。

(担当になったお得意先次第)

※ちなみに、メーカーさんの営業マンも

どんな大手企業であっても

ブラックなお得意先を持つと同じことになります。

バイヤーさんが機嫌が悪いからと言って

寒空の下、外の喫煙所で出待ちとかしています(笑)

③世間にあまり知られていないので説明が面倒

あまり認知されていないので初めて会う人に

仕事内容を1から説明するのがめちゃくちゃ面倒です。

何も知らなさそうな人には食品メーカーって言ったりします(自社製品もあるので嘘ではない・・)

④給料は中の上

激務なのに対して年収1000万に到達するのが40歳を過ぎてからです。

年功序列の古い世界なので若い頃は

働かされる質と量に対して圧倒的に給料が低いです。

ちなみに業界内で聞いた、メガ卸の給料は

国分>>>三菱食品=加藤産業>日本アクセス

という噂です。

どんな人が多い?採用されそう?

上位企業となると採用人数も

毎年50人〜100人程度になりそれなりの規模感がありますが

同じ人事の人が採用している訳ですから

皆んな色というか同じような雰囲気の人が多いです。

・ガッツがある(メンタルが強い)

・勉強は出来なくても地頭が良い

・食べることが好き

・料理が好き

・お酒が好き

・コミュニケーション能力が高い

普通に仕事をしていれば同業他社にも知り合いが出来ますが

自社だけでなく、他のところも皆んなこんな人達ばかりでした。

大きな会社になればなるほど部署も増え

適材適所に人材が必要になりますので

貿易関係の部署なら語学が堪能とかは必要だと思います。

まとめ

食品卸は、バイヤーさん、メーカーさんを巻き込み

全員に利益をもたらす為に考え抜くコンサルタント

体力、知力、精神力を兼ね備えないと生き残れない厳しい世界ですが

成績を残した人たちが、出世していく

社内政治のあまりない実力勝負の世界です。

成績を残して転職をした人は、その先でも活躍しているので

短い期間で、凝縮した経験値が得られる業界だと思います。

最後に

災害時には自分達が頑張らないと

国民が飢えるという状況になるので社会的な役割の大きさを感じます。

お近くのスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、

店頭にいつでも商品が並んでいるのは

卸が頑張っているからなのだと、少しでも思っていてもらえたら

これ以上嬉しいことはありません。